グラナダ大学交換留学ブログ(2019〜2020)

スペイン(グラナダ)交換留学に関するニッチだけど役に立ちそうな情報をまとめます!

イスラム支配時代のグラナダ その3

今回はイスラム支配時代の農業について紹介しようと思います!

ローマ時代の間は最高水準を誇ったものの、その後の西ゴート族支配の間は没落し、農業が停滞していたイベリア半島に、イスラム勢力の到達と共に当時最も発達した農業が伝えられました。

アンダルシア農業の発展は、強固な基礎理論、農学に支えられていました。そして、その理論はアンダルシア農学者によって研究され、いくつかの検証・実験を経て、アンダルシアの土地に合わせた方法が構築されました。

アンダルシアの農業は東方アラブ、アンダルシア土着の知識といった古典的伝統を基礎としていました。そして、アフリカ北方、東方での数世紀にもわたる発展を経て、16世紀以降、イベリア半島の他の地域に対しても伝えられました。

農業にまつわる、こうした事実の中で最も注目を集める事柄は灌漑農業、特に、かつての方法よりもずっと多くの生産高を出した集約的灌漑畑地の導入でした。

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乾燥しがちで湿度が低いアンダルシア地域では、上の写真のような景色がよく見られるので、農業において灌漑が必要だった理由がよく分かりました!

イスラム支配時代のグラナダ その2

今回もイスラム支配時代のグラナダ(イスラム文化)について紹介します!!

今回はアンダルシア地域における水利用に関してです!!

水利用は、アンダルシア地域の農業を特徴づける灌漑事業を行う上で重要でした。また、用水路や貯水槽といった、灌漑にまつわるスペイン語の単語はアラビア語に由来しています。

文書や発掘物によって、アンダルシアにおける水の収集・拡散・利用等はイエメンやベルベル人、さらにはアンダルシア土着の要素が組み合わさった総合的なものでした。

目立った水利用の1つとして地下水路が挙げられ、そうした地下水路のうち最も複雑なものがペルシャ由来のカナートです。

水力の利用は風力と同様、古くから認識されており、アラビア語に翻訳されたギリシャ語文献もありました。

水を撒いたり、物を移動させたりするための水力利用は、中世に発達し、アル・アンダルスの特徴は水車や水汲み用の水車において顕著です。

石臼を備えた粉挽き水車は、米の脱穀や製紙などのためにアンダルシアの人々に使用されていました。

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このミニアチュール(細密画)には水車の絵が描かれています

個人的には、800年近くの間イスラムに支配されていたアンダルシア地域では、ヨーロッパよりも中東のアラブ地域と似た特徴を持っていることが印象的でした!

イスラム支配時代のグラナダ その1

今回からしばらくの間は、グラナダ留学中に知ったイスラム支配時代のグラナダの歴史について紹介していこうと思います!!

今後紹介するグラナダの歴史に関する情報は全て、留学中に見つけた観光案内板を基にしたものです!

第一弾は、アンダルシア音楽についてです!

アンダルシアの文化では、その音楽も有名です。アンダルシア音楽は、土着の伝統的な音楽と、アンダルシアに到達した東方アラブの音楽とが結びついて形成されたものです。

そして、様々な文書により、その理論と演奏についてが明らかにされています。そして、イコンや発掘物は、その楽器の多様性や演奏を反映しています。

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アンダルシア音楽理論は、人気曲や宗教的なものも含んだ東方の音楽を反映したものでした。

そして現在、マグレブ諸国(北アフリカイスラム諸国)への伝播を経てアンダルシア音楽理論は今も息づいています。

イスラム-スペイン時代の歴史はかなりマニアックですが、個人的には興味があるので高校の世界史の教科書や資料集には載っていないようなニッチな情報をお伝えしていこうと思います!!

アルハンブラ宮殿の隠れた見所 その2

前回の続きで、無料で見学できるアルハンブラ宮殿の見所を紹介していきます!!

今回は、アルハンブラ宮殿の敷地内にある門を中心に説明していきます!

1、正義の門

カルロス5世噴水を超えて左手に見えます。

ユーズフ1世在位時の1348年に建てられた門には2つのアーチがあり、外側のものには、イスラム教のシンボル「ファーティマの手」が彫られています。

5本の指は、イスラム教の基本の教え(五行)である

信仰告白・礼拝・喜捨

ラマダーン時期の断食・メッカへの巡礼

を示しています。

そして、内側のアーチには、神がムハンマドに授けた、天国への扉の鍵が刻まれています。

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メンターの友達曰く、正義の門に刻まれている手と鍵が合わさると、アルハンブラ宮殿が崩れる?(細かい内容は忘れました笑)という言い伝えがあるそうです!!

2、ワイン門

かつては、アルハンブラ宮殿内のメディナ(旧市街)につながる主要な門でした。

外部の門との違いは、門が曲がり角に建てられていない点にあります。とはいえ、内部への移動は衛兵によって管理されていました。

この門が建てられたのは、アルハンブラ宮殿内で最も古いムハンマド3世の時期(1302〜1309)とされていますが、門の外面は別の時代のものです。

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3、ビブランブラ門

前回の記事で紹介したザクロ門を通って、真ん中の道を歩いていくと見つかります。

僕の場合、寮の友達とアルハンブラ宮殿をナイトウォークしている時に偶然見つけました!

この門はイスラム中世時代の建物で、1894年に破壊された壁の一部分でした。また、裁判で裁かれた人々の耳・手が吊るされていたことから、耳・手の門として知られています。現在は、当初とは異なる場所にあります。

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門1つをとっても、これだけの興味深い背景を持っているアルハンブラ宮殿はまさに見所満載の場所だと思います!

時間に余裕があれば、ガイドブックにはあまり記載されていない、こうした場所も訪れてみてください!!

アルハンブラ宮殿の隠れた見所 その1

今回から2回にわたって、無料で見学できるアルハンブラ宮殿の見所を紹介していきます!!

無料とはいえ、見応えは十分にあると思います!

アルハンブラ宮殿入口までの道のりにある3つの見所を簡単に紹介します!

1、ザクロ門

1536年に、かつてのBib-Albuxa門を基礎にして建設されました。(かつての門の痕跡は現在の門の右側に残っています)

門にはカルロス5世の紋章が掲げられていて、門の上部には門の名前の由来にもなったザクロ(スペイン語でGranada)の彫刻があります。

真ん中の大きい通路は騎乗用、両側の小さい通路は歩行者用。

ザクロ門は、Plaza Nuevaからアルハンブラ宮殿に向かってゴメレス坂を登っていくと見つけられます。また、坂道の傾斜が結構急なのでスニーカーのような歩きやすい靴で散策する方が良いと思います。

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2、アルハンブラ宮殿敷地内の森

ザクロ門を通って、左手の道を登っていけば『アルハンブラ物語』を書いたワシントン・アーヴィングの像を見れます。

僕の場合、留学前に『アルハンブラ物語』を読んでいたので、アーヴィングの像を見たときには結構テンションが上がりました。笑

この道のりも傾斜が結構急なので、最初に歩いた時は普通に息が上がりました笑

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3、カルロス5世噴水

スペイン-ルネサンス様式の代表作と言われています。噴水下部にある、顔の形をした3つの噴水孔は、グラナダにある3本の川を表しています。

なんとかここまで登って来ればアルハンブラ宮殿の入口までもうすぐです!

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以上のような見所が道中にあるものの、入口にたどり着くまで、急な坂道を10分近く登り続けなければいけないので結構大変です笑

グラナダの隠れた観光名所 その9

今回もグラナダの隠れた観光名所を紹介しようと思います!!

今回紹介するのは、グラナダ市内中心部から少し離れた所にある旧病院です!

この建物に立ち寄る機会は留学中でもあまりなかったのですが、寮までの帰り道に見かけたので散策してみました!

門をくぐって左手に受付があるので、建物内部を散策する前に一言声をかけておく方が無難だと思います。(入場料は無料です)

現在は、グラナダ大学が管理していますが、学生はほとんどいないのでゆっくり観光できると思います。

⭐️歴史

この病院は、カトリック王がエンリケ・エガスと結んだ契約に基づく命令により、1511年に建設され始めました。

そして、こうした活動は国家事業の一つで、グラナダ征服の栄誉を称える公共施設建設計画の一環で行われたものでした。

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⭐️構造

建物内には4つの中庭があり、グラナダ大学の図書館も併設しています。

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図書館に入るためには、グラナダ大学の学生証をスキャンしないといけないため、一般の方が図書館内部を見学することは難しいと思います。

図書館内部には、昔の文献が展示されていたり、マドラサ(以前の記事参照)と似たような天井の構造があったりして、見応えがありました。

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グラナダ大学に留学されている場合は、旧病院だけでなく図書館にも是非一度訪れてみてください!

グラナダの隠れた観光名所 その8

今回もグラナダの隠れた観光名所(イスラム支配時代の建物編)を紹介しようと思います!

今回はPalacio de Dar al-Horra について紹介します!

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この建物は、11世紀に滅亡したズールー朝の王宮の跡地に15世紀頃、建設されました。かつては、ナスル朝最後の王様であるボアブディルの母親が住んでいました。

レコンキスタ後、この建物は隣接するサンタ・イサベル修道院とつなげられました。また、その建築スタイルはアルハンブラ宮殿内の邸宅の影響を受けており、アルバイシン地区にある宮廷人邸宅のモデルにもなりました。

2階建の建物には物見台も付いていて、そこからみた景色は綺麗でした!!

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また、建物内部にはナスル朝時代のイスラム学問に関する説明板が設置されていて、知的好奇心が満たされて楽しかったです笑笑

ちなみに、この建物も今まで紹介した観光名所と同様、細い路地を通り抜けた場所にあるので結構見つけづらいと思います!

ただ、建物内部は以前紹介したCasa Morisca Horno de Oroに劣らないくらい綺麗なので是非訪れてみてください!

⭐️営業日時

月〜日 10:00〜17:00(日曜日は無料)

日曜日以外はグラナダ市内のイスラム建築を周遊するチケット(5€)で入場できます

※上述のイスラム建築周遊チケットはアルハンブラ宮殿のサイトから購入できます(英語かスペイン語)

https://compratickets.alhambra-patronato.es/reservarEntradas.aspx/?opc=42&lg=es

⭐️補足

下記に参考サイトのリンクを貼っておきます(スペイン語)

https://granadaescultura.com/monumentos-granada/palacio-de-dar-al-horra-granada/